Japanese Food Social Winter2019

Miso(味噌)

ラーメンに続いて、気になる日本食シリーズ。
今回はサンフランシスコのお味噌事情について、です。
街のアイコニックなシンボル、こちらのフェリービルの時計塔。
ここで毎週開催されるファーマーズ・マーケットは、世界中から
週に4万人もの人々が訪れる超人気スポット。

厳しい審査を通過した選りすぐりのベンダーが出店し、あの
アリス・ウォータースをはじめとする地元のスターシェフたちも
通うことでも知られています。

観光客、地元住民、料理人、様々な人で賑わうこちらのマーケットで
Misoを見つけたのは、今から2年前のこと。

出入り口に近い一等地のテントに、おしゃれにパッケージングされた
お味噌たちが並びます。ひっきりなしに立ち寄るお客さんはほぼローカル。
日本人は私たちだけ。
お姉さん、小さなおにぎり片手に、慣れた風に味噌汁をオーダーしております。

「おおっ、これぞサンフランシスコ!」
日本の食文化が自然に溶け込むこの空気感。マンハッタンでもこんな
光景は見たことありません。

一方こちら、同じく有名観光スポット
Rainbow Grocery(レインボー・グロサリー)
ヒッピー文化に端を発する超コアなベジタリアン向けの食料品店です。
顧客=従業員「1人1人が店のオーナー」という所謂“フード・コープ”
の草分け的な存在で、メンバーは店で週に何時間か勤務する代わりに
商品を安く購入できたりします。

無添加、オーガニックはもはや当たり前、品質への要求が半端ない
この人気店にも様々なお味噌が並びます。
そしてやっぱりここにもあのお店のMisoが。

一体どんなお味噌なんでしょう?
Sweet Kyoto Misoを買って帰りました。
ずっと前から知ってたような、どこか懐かしく素朴で優しい味わい。

製造しているのは2012年発足のスタートアップAedan Fermented Foods
創設者は日本生まれの日本人 Mariko Gradyさん


Aedan(叡伝)の意味するところは「叡(智恵)」を「伝える」
古来からの日本人の智慧を後世に伝承するお味噌づくり。
丹精込めて少しずつ丁寧に作られる本格的な天然醸造仕込みです。

元々舞台パフォーマーだったMarikoさん、長年、健康維持のために
お祖母さまから代々伝わる味噌づくりを継承し、ご自分で作る味噌を
愛用していたそうです。
転機となったのは東日本大震災、ファンドレイジングで手作り味噌の販売を
始めたことがきっかけでした。

事を成す人はやっぱり発想からして違う!

その後もMarikoさんのお味噌を買いたい人が後を絶たず、販売するなら
ライセンスとか、色々必要だっていうことになったそうで。

それで、スタートアップ支援のLa Cocinaに入居することになり、
お二人のお子さんを育てながら、麹もビジネスも育てている、素敵な方です。

ある日の土曜日、たまたまMarikoさんとお会いするチャンスがありました。

娘の日本語補習校の当番の日、イベントをやっていた隣の公園で
水でも買おうかと寄ったら、雑誌でお見かけしたばかりのご本人が。

お弁当を買って立ち話しながら、初対面で失礼ながら、味噌づくりクラス
のご相談をして、その場でご快諾頂きました。

お菓子作りもいいけどお味噌もいい❤︎
Marikoさんとのやりとりも楽しくて、ワークショップをオーガナイズして、
みんなで賑やかにお味噌を作ったのが先週末のことです。

でも、どうしてわざわざ手作り?
味噌くらい売ってるでしょう?
と思われるかもしれません。

何でも揃う日系スーパー、確かに何でも一通り揃うんですけどね。
でも信頼できる品質で、美味しくて、っていうのになるとすごく
高額だったり、そもそも置いてなかったり。
なかなか購入までには至らない、というのが庶民の現状でございます。

味噌に限らずあらゆるものがそんな感じで、いつもどこかで諦めが
必要(涙)買えるだけありがたいんですけど、、ね。。

特に「生」とつく日本の要冷蔵の和洋菓子や調味料などは、
日本から持って帰ってくるのも難しい。
美味しいものが食べたかったらお金を払うか、作るかしかない。
で、作ってみたら意外と美味しくて簡単、経済的。
ってことに気づいてしまうと、ホームメイド沼にどんどんハマって
しまうのですね。

お味噌も甘酒も、あんこもシュークリームも、こだわりのすごいのが、
ありとあらゆる種類揃っていて、適正価格で買える日本にいたら
絶対こんな色々手作りとか、してない・・・絶対ふつうに買ってる。

買えないから作る、動機は単純ですが、無添加で安全だし、やってみたら
簡単だし、なんといっても手作りならではの美味しさにハマる海外暮らしの
主婦は結構いるようです。

私は、3年ほど前からひよこ豆味噌を作るようになりました。
まさか味噌とか仕込む日がくるなんてね、自分が一番驚いてますけれど。。。

自己流で勝手にやっていたのを、今一度、ちゃんと教えて頂こうと。
そういう経緯で、お味噌作りです。

今回Marikoさんにお願いしたのも、やっぱりひよこ豆で。
こちらでは大豆より一般的で、スープやサラダに入れたり、
マッシュしてディップソースにしたりと色んな使い方が出来て
クセがなく甘いホクホクしたお豆です。
どこのスーパーでも買えるのもいい。
ひよこ豆味噌は甘みが強いのでこれで味噌汁を作るとうちの子たちも
喜んで飲んでくれます。

当日は、お味噌を仕込むだけでなく、麹のもつ力や管理の仕方やそれを
使った調理法などのレクチャーもとっても勉強になりました。

Marikoさんお手製、麹をたっぷり使った栄養満点ランチ。
塩麹の豆腐田楽、マッシュルームの塩麹ソテー、甘酒入り卵焼き。
サゴ八で作る野菜のお漬物3種。手作り納豆、オーツミルクとターメリック
などのスパイスをブレンドした甘酒デザート・・・
まだまだ他にもたくさんご用意頂きました。
高級旅館の朝ごはんを越えるレベル感。

そして出来たお味噌はこちら。
麹、茹でたお豆、塩、材料3つだけ。
もちろん無添加、天然醸造で半年から1年で食べられます。
生麹を使うからカビも生えにくく、このレシピの配合なら、最大5年、
いや、何年でも保存できるそうです!すごいっ!!!


Aedanブランドの人気もすごいです。
2018年度、Good Food Awardsを受賞した、Country Miso(田舎味噌)は
麦麹と米麹が半々ずつブレンドされた定番の人気商品。
おなじみの塩麹や甘酒、べったら漬けの素のようなサゴ八など、
確かな品質のAedanの商品は日本人だけでなくローカルにもファンが多く、
時代やこの土地のニーズにピタリと合致しているようです。

元々、健康志向の人が多く、多様な文化を受容するサンフランシスコ
ならではの受け入れ土壌があるのでしょう。

レストランでも多く使われています。
Topページにさりげなく並ぶ店名は、和食、ステーキハウス、フレンチ、
バー、カリフォルニア料理など様々ですが、どこも人気の一流店。
ミシュランスターの店もズラズラと名を連ねています。
料理をする人にも、それを食する人にも、Aedanの品質が信頼され
支持されている証ですね。
美味しいものを食べたくなったら、こちらのリストを参照したら間違い
なさそう!

こういうお店で、味噌汁や味噌煮が新たにメニューに加わるというより、
シェフたちはお味噌や麹を、Umami調味料として隠し味やマリネなどに
使っているようです。
ビーガンやベジタリアン用のメニューでは、肉やアンチョビ、チーズなどの
旨味食材の代替品として重宝されているそうです。

甘みのあるマイルドな味わいのひよこ豆味噌は、和だけでなく洋にも合います。
ドレッシングや、ディップ、パスタソースやサンドイッチのスプレッドなど、
アメリカならではの使い方をされています。

先日は、レストランでちょっと面白い体験をしました。

デザートに「Amazake Plums(甘酒プラム)」とあったので迷わずオーダー

その時には知らなかったけど、やはり使われていたのはAedanの甘酒。

さっぱり後味の良いプラムのシャーベットに甘酒が入っています。
濃厚な黒ゴマクリーム、ぽりぽりしたワイルドライスのポン菓子の上に、
シャーベットが乗っていて絶妙。これ、ほぼ、和!

この1/4のポーションで、和食器に盛ったら、料亭でまんま出せそう。

アメリカンと和食の境目がこんなにも曖昧だったとは・・・・・
不思議な体験でした。

先日、フェリープラザのマーケットに買い出しに来たこの店のシェフに
Marikoさんがこのことを話してくれたそうです。

シェフも「シンプルで、僕もこのデザートが一番好きなんだよ」
と、言っていたそう。 

素材の持ち味とシンプルさを大切にするのは、和食もカリフォルニア料理も
同じ。それを最大限に引き出してくれる麹とは親和性が高いのでしょう。

いつの日かお味噌や塩麹や甘酒が、チーズやアンチョビのように当たり前に
使われる日がくるのでしょうか。可能性はまだまだ未知数です。

麹って、身体にも心にも優しくて、自然なのにパワフル、まるで
Marikoさんそのものです。
そして、あんな風に自由に麹を使いこなせて、どんなお料理も
魔法のように美味しくできたら楽しいだろうな。

日本が誇る素晴らしい食材「麹」もっと活用していこ!

Leave a Reply

%d bloggers like this: