Recipe Spring2019

Nikkei Cuisine (ニッケイ料理)

”NIKKEI”と言っても、新聞じゃありませんよ。今日は同じアメリカでも南米にルーツをもつニッケイ料理のお話を・・・・

カリフォルニアに暮らしていると、日系2世、3世という方々や、おじいちゃんが日本人、お母さんは日本人とのミックス、などという混血の人たちと出会うことがありますが、彼らは完璧な英語を話し、中身も考え方も完全なアメリカ人。片言の英語で外国人としてここに暮らす自分とは全く異なるという認識でした。

ところが、先日、日系3世のママに、

「じゃあ、あなたは1stジェネレーション(1世)ね」と言われて初めて

「えーっと、そういうことに··なる?かもね(なるの?)」と、曖昧に返しつつ、ふと考えました。このままここに住み着いて一生を終えるとしたら、、そっか、結果的にそういうことになるのかな。

ふーん····って、えーー!?移民?!

急に動揺・・・・

そうです、ちょうど今日で、「ちょっと行って来ます」的な感じで片道切符で渡米してきた日から丸5年。でもね、骨を埋める覚悟までは···正直···ちょっとわからない訳で。私たち夫婦はいつか日本に戻ることがあっても、アメリカ育ちの娘達はここに定住する可能性はまあまあ、あるかも。そしたらうちの子たちは2世?で孫は3世?ってそういうこと?

などと考えていると、日系人、なんだかぐっと、急に身近になっております。

さて、それで、また前置きが長くなりましたけれど、”ニッケイ料理”です。

「日系移民の料理」という意味のニッケイ料理。主に日系人口が多いブラジルやペルーなど南米で生み出されたこんな料理のジャンルがあると知ったのは、2年前より愛読しているこちらの料理本がきっかけ。

日系料理 和食の新しいスタイル /著者:ルイス・ハラ

著者のルイス·ハラ さんは料理上手な日系人の伯母と祖母の手料理で育ったブラジル育ち、イタリア系の血も混じる日系4世。ロンドンの投資銀行で10年働いた後に料理の道を目指しル・コルドンブルーで学び、フードライター、シェフ、経営者として様々な顔を持ちます。インスタグラムで彼の料理をタグするといつも丁寧なコメントを下さる律儀な方で私も大ファン❤︎

ここからは、ルイスさんの本を参照しながらニッケイ料理の歴史について簡単にご紹介していきましょう。

ニッケイ料理の歴史

ニッケイ料理は、1900年はじめに初めて南米にやってきた移民たちが、新しい食材を使ってなんとか日本で食べていた料理に近いものを作ろうとしたのがそもそもの始まり。ルイスさんの言葉を引用するなら、

”ニッケイ料理は、100年以上も前に南米で生み出された移住と適応の所産なのだ。必要から生まれた料理であり、数百万人の移民の歴史であり、一時の流行なんかじゃなくて、ずっと受け継がれていくものだ····”

日系移民とその子孫が住むところ、世界中にニッケイ料理が存在すると言うように、それ自体が人々が生きてきた歴史であり、異なる食文化が融合するダイナミズムの中で生まれた、知恵と創造力と、努力とが結実したもの…なんだかロマンすら感じます。

移民たちも、彼らの大好きな、かぼちゃや柿、ポンカンなど日本の作物をブラジルに紹介し、現地の農業に多大な貢献をしてきたといいます。そういえばファーマーズマーケットでは日本名の八百屋さんをよく見かけますが、なるほど、今、こうしてここで日本の野菜を気軽に入手できるのも日系移民の諸先輩方のおかげ・・・・ありがたい限り。

70年−80年代にかけて日本の多国籍企業の南米進出に伴って、ホワイトカラーの日本人移住者がどっと押し寄せるようになると、ニッケイ料理は新たなフェーズに入ります。和食の技術を教えるために、ノブ・ヒサマツをはじめ多くの一流料理人が日本から呼ばれますが、彼らは多様な食材を日本から輸入するのはかなり難しいことに気づき、現地の食材を応用することを考え始めます。こうして、和食の料理人たちが現地食材を応用して創作する洗練されたレシピを次々と生み出し、ニッケイ料理は家庭料理からプロのシェフが作るレストラン料理へと進化を遂げていきます。

ペルーの有名レストラン”Astrid&Gaston”のセビーチェ(角切りの生魚のマリネ)
写真は先月、南米出張に行ったダンナから(←羨ましすぎ)
メニューには確かにパスタとあるけどこれはうどんをアレンジしたニッケイスタイル。ウニ、トビコにライムのソース、美味しいに決まってる!(←羨ましすぎ2回目)

作って食べて美味しいニッケイ料理

私はダンナと違って、こちらの本でしかニッケイ料理を知らないので偏っているかもしれませんけれど・・・コルドンブルーでフレンチを専門的に学んでいるルイスさんのニッケイ料理は日本を含めたアジア·アメリカ·ヨーロッパの三大陸を自由に行き来するダイナミックさが魅力。

実際に作ってみて、日本と南米、欧米の食材や調味料、調理法が交わると、こんなにも新しくて美味しいものが出来るんだ···と嬉しくなります。

100年以上も前に南米の台所で奮闘するお母さんたちに思いを馳せながら、ルイスさんが子供時代に食べてきたという家庭的なニッケイ料理に惹かれます。

日本酒が手に入りにくかった時代、ハラ家ではすき焼きの割り下に黒ビールを使っていました。
独特のコクがあってまろやかで、今ではすっかり我が家でも定番の味(レシピ参照)

うちでは、フォアグラなどを使うレストラン系のレシピはなかなかハードルが高く、近所の日系スーパーで食材が手に入る気軽なものばかりですけれど…でも、そもそも欧米人向けに書かれているレシピなので、私みたいな和食のことを何一つ知らない初心者にも手取り足取りやさしくて、作り方もシンプル。

サーモン寿司。この時はスモークサーモンで代用、雑い・・・💦わさびレモンクリームが新感覚。丸型のセルクルで抜くだけで「おっ!」ってなります。(レシピ参照)
なす田楽 味噌&モッツァレラ。トースターやグリルでチーズをこんがり焼くのがポイント。サイドや前菜にぴったりの小皿料理は白いご飯が進みすぎて困ります💦(レシピ参照)

作って食べて、新しい発見の連続で、奥が深い···。そして(これが一番大事)どれもとっても美味しい!日本人が創ってきたものだから、日本人の口に合わないわけないですね!

サンフランシスコには南米料理のレストランはいくつもありますが、ニッケイ料理となるとさすがにまだないなぁ・・・あったら流行りそうなのに。と思っていたら、昨年秋に1軒、市内にオープンしてました!単なる和食に飽き足らないサンフランシスコのfoodieたちもきっと気に入るはず。Kaiyo さっそく行かないと❤︎

和食の可能性を無限に感じさせてくれるニッケイ料理。皆さんもいつもの日本食に飽きたらいかがですか?

ニッケイ流牛すき焼きの割り下

だしに極上のコクが加わって最高!もう普通の割り下には戻れないかも?

Servings: 4 人分
Author: ルイス・ハラ
Ingredients
  • 300 ml 醤油
  • 75 g 砂糖
  • 200 ml 黒ビール
  • 小さじ2 だしの素
  • 200 ml みりん
  • 200 ml
Instructions
  1. 全ての材料を小鍋に入れて火をかけ、沸騰したら火を止めておいておく。味を見て濃いようなら水を足す。*野菜から出る水分で薄まるので、具材を入れてから調整すると良いです。


サーモン寿司 わさびレモンクリーム添え

しそとサーモン、アボガドに、爽やかなわさびレモンクリームが新しいお寿司。おもてなしの一品にぴったりです。

Servings: 4 人分
Author: ルイス・ハラ
Ingredients
  • 300 g 酢飯
  • 300 g 刺身用サーモン(又はまぐろ)
  • 50 g 細ねぎ(みじん切り)
  • 大さじ1 醤油
  • 1個 アボガド(1cm角に切る)
  • 数枚 大葉(しそ)
  • 大さじ1 煎りごま
  • 5cm 大根
  • 大さじ1 刻み海苔
わさびレモンクリーム
  • 大さじ2 マヨネーズ
  • 大さじ3 サワークリーム
  • 小さじ1.5 練りわさび
  • 数滴 レモン果汁
  • ひとつまみ
Instructions
  1. サーモンは半量をみじん切りにし、残りは1cm角に切り、それぞれボウルに入れて使う時までラップをして冷蔵庫へ。

  2. わさびレモンクリームの材料を全て混ぜておく(冷蔵庫で1週間保存可)

  3. サーブする直前に、みじん切りのサーモンにねぎを加え、醤油を入れて混ぜる

  4. 酢飯に大葉と煎りごまを加え、混ぜ合わせる。盛り付ける直前に大根をおろし、水気を絞って酢飯に混ぜる

  5. お皿の中央に直径7-8cmのセルクル(円形の抜き型)を置き、酢飯を高さ2.5cmまで入れ、上から軽く抑える

  6. みじん切りにしたサーモンとねぎを合わせた具材を入れ、1cmの層にする。セルクルをそっと引き抜く。寿司の中央にスプーンで、角切りサーモンとアボガドをのせ、真ん中に小さく盛り上げ、軽く押さえて具を密着させる

  7. *この時に、2種類のサーモンが見えるようしたのみじん切り全体を覆わないように注意する(写真参照)

  8. わさびレモンクリーム大さじ2をサーモンが隠れないよう中心を外して寿司の片側にかける。仕上げに刻み海苔と煎りごまを散らしたら完成!

なす田楽 味噌&モッツァレラ

味噌だれとチーズは相性抜群。仕上げに、魚焼きグリルやトースターなどで上側のチーズをこんがり焦がすように焼き上げるのがポイントです。

Servings: 4 人分
Author: ルイス・ハラ
Ingredients
  • 2 中くらいのなす
  • 大さじ4 サラダ油
  • 大さじ4 ごま油
  • 100g 細切りモッツァレラチーズ
  • 小さじ1 煎りごま
田楽味噌
  • 大さじ2 味噌
  • 大さじ2 みりん
  • 大さじ1
  • 小さじ2 砂糖
Instructions
  1. 田楽味噌の材料を全て小鍋に入れ、砂糖が溶けて混ざるまで温める。*いつも余るので、今回はオリジナルレシピの半量で掲載。多めに作って密閉容器に入れて冷蔵庫で数週間保存出来ます。

  2. なすを半分に切って水気を拭き取り、下手を残して縦半分に切り、断面に格子状に切り込みを入れる。皮まで切らないように注意する

  3. オーブンを180℃に予熱する。グリルも余熱する(*うちにはグリルがないのでオーブンのBroil(ブロイル)機能を使っています

  4. 大きめの蓋付フライパンにサラダ油とごま油を同時に入れ、煙が出るまで熱する。火を中火にして、なすの断面を下にして4つ並べ、蓋をして5分焼く

  5. なすを裏返し、再び蓋をして10分焼く。皮を下のまま、大きめのヘラでオーブン用のロースト鍋や皿に移す

  6. なすの断面に田楽味噌を薄く塗り、その上からチーズをかけ、オーブンで5分焼く

  7. グリルに移して(又はBroilのHiで上からじりじり焦がす)チーズが完全に溶けて焼き色がつくまで焼く。煎りごまを散らして熱々を召し上がれ!

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