Spring 2018

Chez Panisse(シェパニーズ)1 -Cafe-

さて、先月ご紹介したアメリカ料理界のレジェンド、アリス・ウォータースさんのレストラン ”Chez Panisse (シェパニーズ)” です。

1階がレストラン、2階がカフェになっていて、1ヶ月前からオンラインで予約が可能。何しろ”全米一予約が取りにくい”、というので初めての時は気合いを入れましたが、日程さえ決まっていれば(平日は)わりとすんなりです。(*Side Noteご参照)

ディナー当日、サンフランシスコ市内からベイブリッジを渡って対岸のイーストベイまで車で30分、お店のあるバークレーに到着しました。

ヒッピーたちの巣窟だったという木造民家を改築して作られた一軒家風の建物は、ぱっと見はどこにでもある普通のカリフォルニアのおうち。学生から美食家まで誰でも歓迎、一部の人たちのためのレストランにしたくなかった、というアリスの想いが感じられるようです。

思わず「おじゃましまーす」と口をついて出そうになるくらいですが、一歩中に入ると、丁寧に磨き上げられたツヤツヤの木目の柱や壁が美しく、契約農家が届けてくれるというゴージャスな生花のアレンジメントが盛大に迎えてくれます。

早く着きすぎたので、2階のカフェで何か飲んで待つことにしました。

ウェイターやお客さんが行ったり来たりひっきりなしに歩き回っていて、みんな楽しそうに談笑していて賑やかです。

壁には、ポパイ?を彷彿させる漫画みたいなポスターが階段や廊下やトイレなどあちらこちらに貼られていて、不思議なレトロ感も・・・。これは30年代フランス映画、パニョルの3部作のポスターで、店名にもなっている”パニース”は、映画に出てくる優しい年長の登場人物です。

若かりし頃のアリスは、映画館のマネージャーだった彼氏に連れられて、この作品を見て感動して、泣いて泣いて大変だったとか。

「食事も人間関係もシンプル、健康的で愛に満ちた南仏の世界観を(当時バークレーの街に欠けていたものを)ここで表現したかった」と、後に店名の由来を語っています。あちらこちらに飾られた、カラフルで陽気なキャラクターのポスターは活気に満ちたカフェの空気感に溶け込んで、まるでフランスのビストロのよう(行ったことないけどw)

人だかりのバーカウンターになんとか入り込める程度の隙間が出来たので、メニューを見て迷っていると、メガネをかけたクリクリの癖っ毛の優しそうなバーテンダーのお兄さんが、自家製レモンシロップのノンアルコール・カクテルを勧めてくれました。

パティシエお手製のシロップ入り。これが、もう、いきなり美味しい!!!マイヤーレモンの自然な芳香が口いっぱいに広がって、まろやかな甘さとすっきり爽やかなバランスが絶妙。アルコールゼロで酔えるんじゃないかという心地良さです。ご機嫌でバーカウンターの隣のオープンキッチンを覗き込むと・・・・あったー!有名なピザ窯!

アリスは、旅先のイタリアで薪火で焼いたピザの美味しさに感動し、こんなのが自分の店にも欲しい、とピザ用の薪オーブンを中心に据えたオープンキッチン構想のカフェを作ります。1980年にオープンしたシェパニーズカフェは、地元の野菜や生ハム、チーズ、ハーブを多用したオリジナリティ溢れるフレッシュなピザを考案してきたことでも知られています。


カフェのオープン当初、ヤギのチーズ、モッツァレラ、生ハムにタイムやパセリなどのハーブをたっぷり入れて、薪火で香ばしく焼き上げたカルツォーネは大評判となり、このキッチンから生み出された斬新な発想の新しいピザは、”カリフォルニアスタイル・ピザ”の源流とも言われています。

我が家もよく行くファミレス感覚のチェーン店、”カリフォルニア・ピザキッチン”は、それから5年後、85年にLAでオープンしますが、開店当時ピザ窯からオープンキッチンコンセプトまで、シェパニーズカフェの影響を少なからず、どころか多大に受けていたと聞くと、これまたびっくりするわけで、、、

そのオープンキッチンのカウンターには、艶々にキャラメライズされたキラキラ輝くリンゼイのリンゴのガレット。
レシピ本や映像では何度も目にしていますが、”おぉーーーっ!”こうして目の前で本物を見るとテンションが上がります。
まだ20代そこそこのアリスが自宅でしょっちゅう一緒に料理していたという近所に住むお友達がリンゼイさん。
素人ながらにお菓子作りの名人で、店のオープン初日から25年以上、シェパニーズのペイストリー・シェフを任されていました。

このリンゼイのガレットは、アーモンドタルトと並んでシェパニーズの定番デザートの一つで、サクサクのタルト生地の上に桃やリンゴや、梨やプラム、アプリコットなどその時々の季節の果物をびっしり並べて、果実そのものの甘さを味わいます。繊細なデコレーションが施された洗練されたフランス菓子と違って、田舎町でお母さんが作るっぽい素朴な見た目もいい感じ。

あーーーー、食べたいなぁ、、、!でも今日の予約はレストラン。
1種類のみのコースのデザートは、ジェラート、と数日前にネットで確認しました。
んーー残念!また今度、カフェに来た時のお楽しみです。

そうこうしているうちに、時間になりました。階下に降りて席に案内されるのを待ちます。
さあ、ディナーが始まります。(続く)

Side Note
カフェなら平日のランチや遅めのディナーは直前でも空いているようです。その気になれば旅行中でも、子連れでも行けます!レストランのディナー予約時間は2部制で、5時半からと、8時から。お客さんを次々入れて回転率を上げるという発想はなく、今も昔も変わらず2部制、です。(予約サイト)

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